薬師十二坊巡り feat.かない地域づくりの会
公開日:
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最終更新日:2020/12/10
佐渡移住推進日記
先日、佐渡市世界遺産推進課文化財室室長の野口氏を講師にお迎えして、金井地区(?)大和田にある薬師十二坊巡りをしてきました。
かない地域づくりの会では様々な講座を開催していますが、今回のは「金井の文化財見学会」の第4回目。
薬師十二坊自体を知りませんでしたが、講師が野口室長というので今回こそは!とただそれだけで参加してきました。
(※夏にミステリーツアーが開催されていましたが都合がつかず参加見合わせておりましたので・・)
野口室長といえば、佐渡の文化財関連の知識でみぎに出る人はいないといっても過言ではないぐらい文化財の造詣が深いと思います。島外の方が書いたもので佐渡関連のことが出て来る本には、たまに当時課長だったか部長だったかの野口さんが案内する様子が出てきます。
今回、巡っている中で、野口室長の口から「高校生のときに四天王の覚え方をオリジナルで考えた!」という発言があり、私は心の中で(普通、高校生が四天王なんて知らんだろ。しかもオリジナルな覚え方って・・もうこの頃からそういう分野に興味があったんだな・・・)と結果である現在の知識の権化的なお姿に改めて敬服いたしました。
さて、まず、薬師十二坊とはなんだろうというところですが、これは、薬師十二神将になぞらえ、大和田にある薬師堂を中心として建てられた十二の寺院のことを指すようです。
現在はなくなってしまったものもありますが、きちんと標柱があるのでここにあったことがわかります。文化財を守ろうとされる地元の方の熱意が感じられます。素晴らしい!
薬師堂を守るかのように本当に隣接していました。
薬師十二坊一覧
1–宝蔵坊(現存)
2–勧正寺(現存)
3–南陽坊(廃寺)
4–吉祥坊(廃寺)
5–本行坊(廃寺)
6–薬王寺(現存)
7–円福寺(廃寺)
8–正覚坊(現存)
9–東林坊(現存)
10–龍蔵坊(現存)
11–上之坊(廃寺)
12–大鏡坊(廃寺)
私が疑問に思ったのは、そもそも十二坊に守らせている薬師様がどうしてここに建てられた?ってところでした。
詳細は佐渡大和田誌に記載があるということで、拾い読みしてみましたが。。。以下のような記述があるだけ。
「薬師如来略縁起」
そもそも当村薬師如来の由来を知るに、行基菩薩の御作にして、一刀三礼の本尊なり。もと紀州高野山に納まり、日本三躰の薬師と崇め奉り、今は七仏と唱ふ。しかるに弘仁元年の頃、金北山の西三本なら峰へ飛び来たりたまふて、毎夜光明を放ちたまふ。・・・(以下省略)
飛んで来たって書いてあるような・・・(;・∀・)
さて今回のツアーの行程に戻ります・・・
まずは元薬師跡と呼ばれる、現在共同墓地に向かいました。
こんなに広々とした田んぼが広がっていました。。。
※雨だったので皆さん傘を差しています・・・
こちらで使われている墓石、昔のものは椿尾のものだそうです。
椿尾に関しては、以前、石工の里見学しましたのでその時のメモ書きがこちらに>>。。。
後半、椿尾の石で作った墓石の写真(一部)も掲載しています。
この墓地の端っこに「危険!危ない!」という看板があるのですがここを降りると、十二坊の坊の名前がついた沢、「坊沢」に下りれるのだとか・・・
今は多分道もなくなっているので看板にあるように危険だと思います・・・
道中見つけた「庚申塔」。庚申講を3年18回続けた記念に建立されることが多いそうです。庚申講とは「
人間の体内にいるという三尸虫(さんしちゅう)という虫が、庚申の日の夜寝ている間に天帝にその人間の悪事を報告しに行くとされていることから、それを避けるためとして庚申の日の夜は夜通し眠らないで天帝や猿田彦や青面金剛を祀り、勤行をしたり宴会をしたりする風習である。
」(wikipediaより)
この日に生まれた子供は大泥棒になると言われており、名前に「金」をつけられたそうです。夏目漱石さんなどがそうなんだそうですよ。。。
一般的にはこの庚申塔は、村外れに設置され、この世とあの世の境目的な意味合いもあるんだとか・・
この塔は、以前は2-3倍あったため池の向こう岸に設置してあり、田んぼ整地などで池も小さくなり、ここに移動されたんだとか。
現地の方の証言です。
この木の向こう側まで池があってその向こうに塚が設置してあったんだそうです。(写真手前に塔があります)
とここまで書いて、全部細かく書いていると終わらなそうなので端折ります。。。後日、時間見つけて加筆していきたいと思います。(多分数年後になると思いますが・・・)
冒頭の縁起にも書いてあるように、こちらの薬師様、田舎の農村にあるようなものではなく、やはりそれなりの仏師が掘った物だと判断できるそうです。
横を向いているお地蔵さんとか(金北山を見ているので横になっているとか・・)
幼少時に土田麦僊が修行したお寺があってふすまの絵はこんなだったり。。。
セキュリティの面からいっても所在を明らかにするのはあまりよろしくないかなと思ってぼかした書き方にしました。
いずれにしても、流人の島ということで教養のある方などがたくさんいらっしゃった土地。いろんな驚くべき文化財がありびっくりします。
また島内にはあちこちの町の「◯◯町史」があるんですが、ここ大和田の大和田誌も、土地整備をきっかけに編纂されたものがあり、なんと600ページ弱!
すごい大きな町じゃないんですよ?佐渡の中でも集落名知らない人いるぐらいの場所だと思うんですが。。。
なのに600ページ・・・
日本全国、いや世界を見ても、それぞれの集落の歴史がこんなに細かくまとめられている土地って多分ないとおもう・・・
あるガイド仲間に言わせると「知識人のDNAが混ざってるからまとめるの好きなんじゃない?佐渡人は」って感じでしたが・・・佐渡恐るべしです。。。
薬師如来とか十二坊とか興味ある方は、佐渡市図書館にある大和田誌を読んで見るといいかもしれません。小木町誌など販売してますが大和田のは販売してるかはちょっとわからないです。。。ついでのときに図書館の人に聞いてみますね。
ということで、結局さわりしかかけませんでしたが、この記事をきっかけに薬師十二坊巡りされたい方は・・・特にツアーコースにもなってませんし、かない地域づくりの会でも多分再度企画されないような気がしますので、今回最初のほうであげた一覧からお寺を検索してみて、場所がわかれば各お寺の住職さんなどに連絡してみてはいかがでしょうか?
廃寺になっているところは地図では検索できないですけど現存するお寺に隣接しているものがほとんどでこんな形で標柱として目視できます。
あ、そうそう毎年8月1日に御開帳があって賑やかなお祭りも催されるようです。大般若転読もあるようなので行ってみたいです。
企画してくださったかない地域づくりの会の皆様、ありがとうございました。そして日曜日にもかかわらず、講師として解説してくださった野口室長もありがとうございました!(いずれの日にか、お話してくだったことをまとめますので許してください!)
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